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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2000年8月のニュース一覧
▼[2000.08.31]感染経路所在不明
▼[2000.08.30]次世紀のスポーツ観戦
▼[2000.08.28]世界の終わり,のカタチ
▼[2000.08.26]チップレースの終焉を見よう
▼[2000.08.25]ドキドキのキューブ
▼[2000.08.24]健全な嘘
▼[2000.08.23]第七官界彷徨
▼[2000.08.22]結晶たちの力
▼[2000.08.20]憧れのインタアネット・スタア
▼[2000.08.19]惜みなく愛は奪ふ
▼[2000.08.18]暴走列車
▼[2000.08.17]ネットワーク,たるもの
▼[2000.08.16]鉄の狼
▼[2000.08.15]go out, go away!
▼[2000.08.11]神と悪魔への背徳としてのPC
▼[2000.08.10]ふへんのぶらうざ
▼[2000.08.09]そこに空があるように
▼[2000.08.08]圧縮という名のフィロソフィー
▼[2000.08.06]この,国のカタチ
▼[2000.08.05]優しさと厳しさの狭間が生むもの
▼[2000.08.03]笑う君はヘップバーン
▼[2000.08.02]go, to be
▼[2000.08.01]光の速度で,繋がって

■2000年9月のニュース一覧
■2000年7月のニュース一覧

 
[2000.08.31]
  感染経路所在不明


 ▼米McAfee、無線インターネット機器向けのウィルス対策ソフト(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0829/mcaf.htm


 「ゴールデンウイークの期間中,行楽地にお出かけの方は,カゼのウイルスに十分にご注意ください。無防備な状態でいますと,体内が冒され,奇妙な動作を起こしたり,ファイルの破壊などに見舞われることが………」

 ネットワークアソシエイツ社は28日,無線インターネット機器向けのウイルス対策ソフトを発表した。パーム,ポケットPC,ウインドウズCE,エポックに対応する。この製品は,ネット接続時にリアルタイムでウイルスを検査し,パソコンと同期させる際も検査を行なう。

 折しもパーム初のトロイが発見された(CNET Japanの記事)。こちらはパーム上でゲームボーイのゲームをエミュするソフトの登録制限を解除するパッチのようなカタチになっている。で,そのエミュの開発者がトロイの制作者なもんで,ソフトをクラックしようとしている人たちをわざと陥れようとしたのではないかといぶかれている。PCとの同期の際,または赤外線通信などでパーム内に入り込み,実行してしまうと,パーム上の実行ファイルをすべて削除する(データはそのまま,っていう中途半端なところがいぶかしさを焚き付けている)。

 まぁ無線と云っても感染経路はやっぱりはっきりしているものだが,物理的接触のないところからやってくる,ウイルス,トロイ,というものは,興味をひく。94年8月の情報処理振興事業協会のウイルス被害届出状況によるワクチン感染経路はほぼ100%が,フロッピーやハードディスクだった。それが電話回線やイーサーの銅線になり,その線もなくなってウイルスが大気中を飛び交う。もともと風邪の菌のような病原菌から名付けられたコンピューターウイルスが,本物のウイルスと同じ経路を持つ。ひょっとしたら,人込みに行くほどにウイルスに侵されやすくなる…,なんて云う日が,来るかも。



 
[2000.08.30]
  次世紀のスポーツ観戦


 ▼スポーツ・スタジアムもワイヤレス対応へ(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000829305.html


 スポーツスタジアムという名の,私のためのゲームスペース。あなたはヘッドコーチになるか,クォーターバックになるか,はたまたオーナーとして見守るか。スパイラルパスの落ち行く先を決めるのは,あなた。

 スリーコム社は,アメリカン・フットボールNFLのサンフランシスコ・フォーティーナイナーズの本拠地であるスリーコム・パークで,観戦者にワイヤレス機器を貸し出し,食べ物を注文したり,選手の成績を調べたり,友だちと連絡をとったりできるようにする。

 まぁ食べ物を注文するとかいうような目的は置いといて,観客が皆,ワイヤレス機器を身に付けている様子は興味深いかもしれない。その機器で,データを瞬時に呼び出せたるすると,「スポーツ観戦」というものの未来に,いろいろな想像をかき立てる。たとえば,多くの米国人にとって合衆国大統領よりもなってみたいもののひとつに,スーパーボールのヘッドコーチがある。アメフトのフィールドには,他のスポーツにないほどの情報がやり取りされる。フィールドサイドにいるヘッドコーチ,スタジアムの最上段にいるオフェンスとディフェンスのコーディネーター,そしてフィールドのど真ん中にいるクォーターバックが,無線を利用し,ヘッドセットでやりとりをしている。ヘッドコーチは,すべての情報を手元に置き,戦況を目の前に見つめ,コーディネーターの意見をくみ取り,指揮をとる。基本的には,「戦術」のゲームであり,展開はヘッドコーチ次第,といってもいい。もし,スリーコムのワイヤレス・デバイスが,そんな人々の欲望を触発するものとなれば…。

 ゲーム店の店頭では今,スクウェア社の「劇空間プロ野球〜AT THE END OF THE CENTURY 1999〜」のデモで見かける。これがゲームとして楽しいのかどうかという疑問は湧くが(デフォルメのないマンガはマンガではない),リアリティをもった観戦するべきものを操作できてしまう違和感を感じる。そして,今までの「スポーツ観戦」での楽しみを大きくひっくり返す何かが,スリーコムのワイヤレス・デバイスと劇空間プロ野球というゲームにはあるような気がする。観る楽しさを一歩深めた,観戦の姿がありそうな気がするが,どうだろう。それがどのような形となって現れるのか,想像も付かないけど。



 
[2000.08.28]
  世界の終わり,のカタチ


 ▼世界のネットトラフィックを管理するルートサーバの一部で障害(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0008/26/b_0825_07.html


 『世は世界大戦のまっただなか。背中に自動連射銃を背負い,従軍看護婦のピンク色の制服の上にブルゾンをはおった彼女の手をひき,小型飛行機の銃弾を避けながら,走った。そして,間一髪のところで,兵器格納庫の扉のすきまに飛び込む。僕たちは息をあららげながら奥へと進み,陰になっているところへと腰をおろす。わずかな静寂ののち,敵機からの砲撃。防弾ガラスのひび割れる音,天井が弾丸のすさまじい音を何十倍にもひびかせ,ほこりをふるい落とした。胸のなかの彼女をきつく抱きしめ,からだをおおいかぶせる。再び,静寂が戻る。ゆるめた腕のなかから,彼女が顔をあげる。大きな,大きな,原子爆弾のすそので,僕は彼女の微笑みを見て,軽いキスをして,また強く胸のなかへと抱きしめた』。

 世界のインターネットトラフィックを管理している13台のルートサーバーのうち4台が23日,一時的に停止した。問題が発生したのは,ネットワーク・ソリューションズ国防総省南カルフォルニア大学,および日本の組織が運営していたもの。

 各サーバーのIPアドレスとドメインネームを結びつけるいわゆるDNSサーバーの親方,みたいなのが,世界に13個設置されている「ルートサーバー」。「A」から「M」まで名付けられており,サーバーがどこにあって,どこが管理しているかは設定ファイルnamed.rootに記載されている。日本の慶応大学にはそのMサーバーが置かれ,今回の事故に遭ったのはB,G,J,Mのサーバー。問題は1時間ほどで解決したそうで,各プロバイダーやサーバーのキャッシュが生きている間に復旧し,大した影響もなかったのだが…。

 簡単に考えてしまえば,この13台のサーバーがなんらかの攻撃を受け,停止すると,数時間の後,すべてのネットワークトラフィックはゆっくりと停止に向かう。named.rootは,残された遺言に過ぎなくなる。「世界の終わり」が,銃弾と原子爆弾だけではないことを,私たちは知っている。終わりの姿を知っているならば,生きるべく姿も知ることができる。何をすべきかを,心得られる。さあ,「世界の終わりは,君と一緒に」。



 
[2000.08.26]
  チップレースの終焉を見よう


 ▼Pentium 4の性能はその価格にふさわしいか?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0008/25/pen4us1.html


 まさにノーガードの殴り合いだった。だがよくよく見ていると,予定よりも速い高クロック,予定よりも早いチップの値下げ…,先に仕掛けているのは,すべてAMD。インテルは乗せられているだけのムード。どこで,インテルは,間違ったのか? 数年後(といってもそんな先でない未来),その答えは明確になっているかもしれない。

 インテル社は今週のインテル開発者フォーラムで,ペンティアム4の新たな詳細を明らかにした。だが,同周波数のペンティアム3と比較するとペンティアム3の方が高速だという意見もある。ペンティアム4の方が,周波数の向上はたやすくなることは確かだが,各種パーツのパフォーマンス向上も,今のところ,ペンティアム4に最適化されたソフトが存在しない。

 フォーラム初日のアルバート・ユウGMのデモで,軽く2GHzを見せつけたペンティアム4(MYCOM PCWEBの記事)。だが,評判はそれほどよくはない。ペン3の1.2GHzで,チップレースで一歩だけ先にいるが,それもかなり数量が限定されており,まともな生産ラインに乗っていない。ペン4のとてつもない大きさのヒートシンクに,さらに冷却ファンを複数設けることが望まれるという,とてもじゃないが危うい姿は,メーカーやユーザーのためらいをうむには十分だ。

 18ヶ月でチップ性能は倍になっていく,というムーアの法則を生み出したのはインテル創始者のゴードン・ムーアだった。だが,実際にムーアの法則の車輪となって推し進めているのは,AMD社だ。インテルの口に出せぬ苦悩が,そこにある。インテルにはAMDにない幅の広さがあるが,AMDはその幅をひとつずつ,確実に奪い取っている。そして,最も大事な尊厳の部分までをも。インテルはモトローラ社からもチップデザイナーの引き抜きなどもしているようだが(MacOS Rumorsの記事),両者打ち合っていても,ペースはAMDのもの。ライバルストーリーの終焉がざわめきのなかで見えている,確実に。



 
[2000.08.25]
  ドキドキのキューブ


 ▼2001年7月発売! 任天堂新ハード「ゲームキューブ」(geisen.com)
  http://geisen.com/event/nsw2000/rep0n002.htm


 毎日毎日,そのゲーム機が欲しくて親にねだって,そしてやっと買ってもらえることになって,おもちゃ屋に足を運ぶときのドキドキを思い出させるようなこの感触,それがやっぱり,任天堂,なのだろうか。

 任天堂が来年7月に発売予定の新型ゲーム機「ゲームキューブ」が公開された。その名前通り,縦横15cm,高さ10cmの立方体で,黒青白桃黄色の5色。メディアは松下電器産業の独自企画のゲームキューブディスクを採用。CPUはIBM社のパワーPC「ゲッコー」の405MHz。

 おいおいまたこんなんかいというキューブでした(^_^;)。任天堂はネットワーク端末としてはゲームボーイアドハンスドを先行させるので,ゲームキューブに標準のネットワーク装置がないのはまぁよしとしましょう。噂ではDVDメディアということだったが,たぶんDVD機能は松下が出すゲームキューブ互換機に回して,任天堂ハードとしてはゲーム機としての位置づけを明確にした感じか。

 誰もゲーム機として見ていないプレステ2の後だからだろうか,純粋なTVゲーム機は話だけでドキドキする。「新しいゲーム機が欲しい〜〜」と叫ぶ喜びに浸らせてくれる。スペック的な魅力はやっぱりIBMのゲッコー。コンシューマー向け製品としては,iBookに次ぐことになる銅配線技術採用の製品だ。フルカスタム化されたLSI「フリッパー」や,高速DRAMのメモリなど,きちんとゲーム用に最適化されているボードには,今の自分がドキドキしている。ドキドキ,ドキドキ,ドキドキ,のゲームキューブ。



 
[2000.08.24]
  健全な嘘


 ▼「嘘には嘘を」――プライバシー問題の“タカ派”ユーザー増える(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0008/23/privacy.html


 基本的に企業なんて金儲けてなんぼ,なんだから,金が取れないとなったら金に繋がるものをむしり取るだけ。ある意味では,健全だな。だから,そんな金頭バカに嘘で親切に答えてあげるのも,いたって健全。

 22日に公表された調査結果によると,無料サービスなどでの個人情報の提示で,偽の名前などを提示するユーザーが4分の1にも達しているようだ。そのようなユーザー「プライバシー問題のタカ派」たちの存在が証明するのは,この業界がコンシューマーの信頼を得ていないということだ。

 と,いうか,まじめに全部入力している人がほんとに4分の3もいるのかというのが疑問(^_^;)。ここ数ヶ月で,大手サイトで「プライバシー指針」を掲げていないサイトはほとんどなくなった。どこもかしこも(ホントかどうかは知らないが)個人情報を取得している方法や,その個人情報の使い道などを明確にするようになった。

 プライバシー指針がここまで増えたのは,米国で「個人情報を勝手に使われた〜」という訴訟がわんさか起きたから。企業にとっては,イメージダウンだし,裁判沙汰なんてとにかく面倒だ。ということからの保身の姿勢。今どきプライバシー指針を持ってない企業サイトは,どっか頭が抜けているといってもいい。でも,まぁ記事にあるように,そんなプライバシー指針があっても,誰もそんなものは信じていない。気付くと大量のクッキーを食わされているし,どこでメアドが漏れたのか日増しにスパムは増えていくし…。金が稼げないウェブで企業がやることといったら,個人情報をかすめ取るくらいしかないんだから。そんな嘘でサイトを作っている奴等に,嘘の情報を与えるのは,なんとも健全に成り立っている世の中だねぇ。



 
[2000.08.23]
  第七官界彷徨


 ▼PCも「感じる」時代へ? 体感マウス,今秋発売(CNN.co.jp)
  http://www.cnn.co.jp/2000/TECH/08/22/feel.mouse.ap/index.html


 目でも,耳でも,鼻でも,手の平でも感じられぬが,脳髄に直接語りかけてくるかのようなこの感覚。この世界を歩き回ってくるときに,じんじんと,ずきずきと染みてくる,この感覚は,なに?

 ロジテック社が開発した「iFeel MouseMan」というマウスは,一見,ごく普通のマウスだが,ユーザーの手に感触を伝えるモーターを内蔵している。現在のコンピューティングの世界では眠ったままの人間の直感に,働きかけるものとなる。

 人間はまだ,ディスプレイとスピーカーとでしかコンピューターの声を聞いていない。光と音,しかない。その関係性は非常にもろい。文字と声だけの恋愛に,限界があるように。たぶん,5感のすべてを内包するであろうワイヤードでは,それ以外の,とある感覚を感じる。言葉にすることもできない,手を伸ばすこともできない,でも,この世界を覆いつくしている,もう1つの感覚。行動をするたびに身体にまとわりつく,脳を刺激する。目でも,耳でも,肌でもなく,なにかで感じる感覚がある。それがなにかは明らかではないが,それを知るためにも多くの感覚を手にしていく必要がある。ロジテックのマウスもその小さな一歩。

 尾崎翠は日常生活の中に潜む,不可思議な感覚の世界を「第七官界」と語った。コミックオペラの旋律,蘚(コケ)と恋情の関係,分裂病患者の気質,とらえどころのない憧れを感じさせる貴方に漂う誘惑。そう,現代のワイヤードには,第七官界が如実に感じられる。その感覚をつかみ取るのは難しいが,その感覚に酔いしれるのは気持ちがいい。ホントに,気持ちがいい。そうして,それは「恋」の感覚に似ている。



 
[2000.08.22]
  結晶たちの力


 ▼「ソフト業界の主流はオープンソースへ」(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000821303.html


 まるで細工されたかのように,細かで精巧な,雪の結晶のひとつひとつが集まって,雪片となり,無数の雪片が大雪となり,どんな山をも覆い尽くすかのように。

 フォレスターリサーチ社が,ソフトウェア業界は2004年までにオープンソース・スタンダードによって再編成され,オラクル社マイクロソフト社は苦戦を強いられるという報告書をまとめた。IT責任者へのインタビューでは,56%がすでにオープンソース・ソフトを使っており,84%が業界革新の火付け役になるとしている。Linuxによって変化は起きているが「ソフトウェアが開発され,配布され,使われる方法全体にこれから根本的な変化が起こる」。

 たとえればオープンソースはコミュニケーションだ。プログラマーの話す言葉はコード。だから,会話はコードで成り立つ。ひとり密室で着崩したコードを黙々と書いていくのと,自らのコードを陽の下にさらし,着こなしを教えてもらい,着流し方を身に付けていく。コードという言葉は,どんな表情よりも明白だ。リアルにないコミュニケーションがある。

 そしてそのコミュニケーションは,MSのコーディングルームの何千倍の広さをもって,オラクルの技術開発室の何千倍の明晰さをひけらかす。今のソフトウェアの開発方法,配布方法,使用方法のすべてを変革していく鍵がそこにある。大木も,街さえも飲み込む雪山の雪崩も,小さな雪の結晶,そのひとつひとつの集まりでしかない。



 
[2000.08.20]
  憧れのインタアネット・スタア


 ▼日本語版「shockwave.com」プレビューサイトオープン(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0818/swjp.htm


 ミュージカル・スタア,シネマ・スタア,ラジオ・スタア,ヴィデオ・スタア…,すべてが殺されていく。最後にいる“あいつ”。憧れの…。

 マクロメディア社は,エンターテインメントコンテンツサイト,ショックウェーブ・コム日本語版のプレビューを公開した。正式オープンは9月の予定。英語版同様のコミック,音楽,ゲームなどのコンテンツが用意されている。

 激しい大阪弁のサウスパークなど(^_^),特に楽しいアニメーションが目を引くショックウェーブ・コム。「ビデオスターの悲劇」もそのひとつ。プロローグにあるように,MTVが時代の変化のシンボルとして流した「憧れのヴィデオ・スタア〜ラジオ・スタアの悲劇」。ヴィデオ・スタアはビジュアルとルックスでラジオ・スタアを駆逐した。しかし,それからわずかな時が流れ,新たな潮流のただ中に私たちはいる。それが,まさにショックウェーブ・コムの「ビデオスターの悲劇」だ。

 テレビとCDの中でしかスタアでいられなかった奴等は,もう消えてしまっていい。そう,時代はMP3とライブ・ストリーミングとウェブ・サイトを自由に使いこなすインタアネット・スタアを待っている。ヴィデオ・スタアの飽き飽きするアクションを見て,こめかみに銃を突きつける必要はもうない。僕らにはインタアネット・スタアが待っている。ヴィデオ・スタアに「good-by」。インタアネット・スタアに「hello」。



 
[2000.08.19]
  惜みなく愛は奪ふ


 ▼スイスの銀行顧客を狙ったLoveLetter型ウイルス(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0008/18/lovebug.html


 愛は盗むこと。奪うこと。なにものも奪わぬ愛はない。他者の中の自分にはない異質の部分を自分の中に摂取していくことでしか,愛はその存在意義を打ち破れぬ所在なのだ。

 スイスの銀行のオンラインバンキング用のソフトを利用して,顧客のパスワードなどを盗み出すラブ・バグの類似ウイルスが発見された。この「VBS/Loveletter.bd」は,添付ファイルを開くとキーストロークを記録するトロイの木馬をダウンロードし,その内容をメールで第3者に送信する。

 こう,なんか懐かしい感じもするキーストロークソフトの,ネット対応型といった感じの進化か。キーストロークログソフトなんて,以前はToolzなどのぞくとだいたいあったものだが(^^),最近はDLやネットワーク系のソフトが多いので,あまり見ない。ラブ・バグ(過去記事00/05/0500/05/0600/05/23)の続きというよりも,なんとなく郷愁を誘う話でした(ってじじいの昔話みたいですが(^_^ゞ)。

 愛はある側面,エゴの証でしかない。それ自体が,相手を奪い尽くし,盗み尽くし,食い尽くし,殺し尽くす。その衝動としてすべての行為は説明できる。ラブ・バグの進化は,その点にかなうもの。だが,有島武郎はその行為に慈しみを投げ掛ける。「それは私としてなんという我儘であろう。そして自分ながらなんという可憐さであろう」。



 
[2000.08.18]
  暴走列車


 ▼Napster Supporters Deface Web Sites, Blast Metallica(NEWSBYTES)【英語】
  http://www.newsbytes.com/pubNews/00/153695.html


 今,世界の中心にあるのは,「ナップスター」「ファイル共有」「MP3」などのキーワードだ。だが,「ナップスター」も「MP3」も油断をしていると,列車から振り落とされてしまう。暴走列車に乗り続けられるのは,誰か?

 ハッカーが,ナップスター社に対する弾圧の怒りを表すために世界中のウェブサイトを書き換えた。犯人による宣言によると,書き換えられたサイトはフランス国立図書館,ノルウェーポスト,インドネシア国際銀行,米国TDK社,台湾ナイキ社など。書き換えられたメッセージには,メタリカと音楽業界への批判と,侵入されたサーバー管理者にサーバーの弱点を知りたい場合は…とメールアドレスが残されていた。

 Napster on Courtは,第二幕を迎える。今週金曜日に,ナップスター社は控訴の概要を提出。今回の概要は,MS裁判で手柄をあげたナップスター社主任弁護士のデビッド・ボイズの起死回生の手駒となるだろう。ボイスは云っている。「地方裁判所がミスをするか,あるいは事実を誤認する可能性を警戒するために上訴裁判所はある。今回がそれだ。地裁は,我々の明確な証拠となるべき聴聞会を開くことさえ応じなかった。私たちは,より詳しい説明をするため,地裁へと戻るのだ」(米国ヤフーの記事)。

 だが,時間は早急に過ぎていく。特にこの世界では,秒針の動きも見えぬほどのスピードで。MP3への使用料が要求される中,新しい音楽ファイルフォーマット「オッグ・ボルビス」の登場(米国ZDNet musicの記事CNET Japanの記事)。ウェブ上でのピアトゥピアのマルチメディアファイル交換サイト「ShareTraxx」の使い勝手の良さも目を引く。AOLインスタントメッセンジャーをはじめ,他のすべてのIMソフトでファイル交換・検索を可能にするエイムスターも,元はただのIMであるから音楽業界から訴えられることはないとのことで興味深い(ZDNet Newsの記事)。激しい連日の動きには,ナップスターさえも,のそのそしていると放り出されてしまいそうだ。それほど,今は,動いているんだ。



 
[2000.08.17]
  ネットワーク,たるもの


 ▼The Network Manager: Netscapeの悲惨なMacサポート(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0008/12/c_tnmanager.html


 ネットワークとは,プラットフォームの存在をなくすことを忘れずに進展してきた。それは,この世界の思想のひとつだ。だが,大きな力を持つ一企業が,その思想を持たずにいる。それは,忌むべきことであり,明確に非難していい問題である。

 ネットスケープ社の過去数年にわたるマックユーザーの扱い方は怒りをおぼえるものだ。JAVAに関するセキュリティーホールを生み,そのJAVAもバージョンが古い。OS上のインターネットの設定も取り入れない。ネットスケープ6もマイクロソフト社のインターネット・エクスプローラーには到底かなわない。

 なら,IEを使えばよい(簡単に云ってしまうが)。別に他の選択肢がないわけでもなく,iCabだってオペラだって選択肢となろう。で,私はこの記事とは正反対の結論を持っている。いや,もちろんマック版のネットスケープは,粗雑さが感じられるものになった。だが,そんなのは小さな問題でしかない。

 ネットワークソフトウェアを作るに値する者の条件をひとつ挙げよう。それば,(できる限り)「すべての」プラットフォームに(できる限り)「同等の」製品を供給できる者だ。ネットスケープは当然そうだし,個人情報の取り扱いでへまをやらかしているような企業であっても,そんなことは心得ている。個々のプラットフォームに最高のものを作っても,なんの意味もない。それどころか,たったひとつのプラットフォームでしか使えない機能を持っている,「出来損ない」をつくり続けている企業は軽蔑に値する。ネットワークに近い立場にいる人間であれば,そんなことは簡単に気付きそうなものだが,この記事の筆者は,単なる自己中心的なまっか〜ですかね,辟易します。



 
[2000.08.16]
  鉄の狼


 ▼「サイボーグ」技術で米軍兵の武装強化(CNN.co.jp)
  http://www.cnn.co.jp/2000/TECH/08/11/cyborg.ap/index.html


 未来の戦場。兵士にとって,電装装置の破壊が死ともなりえる。生身の血を見ずとも,ネットワークが断絶されたときに流れる赤い血もある。まだ見ぬ戦場への憧憬,渦巻く。

 米国陸軍第82エアボーン師団では6月から,「ランド・ウォーリア」システムが試用中だ。このシステムは,武器に付けられたビデオカメラで戦場の模様を仲間に送信したり,戦地の地形を呼び出すカーナビのようなものも持ち,ヘルメットのマイクロフォンで仲間と交信できる装置などを持っている。

 戦場の仕組みが大きく変わったのを目の当たりにしたのは,91年の湾岸戦争の時だったろうか。どこにも兵士の姿などなく,地対空,空対地の弾道だけが行き交う。兵士同士の戦いを見ることはなく,目にするのはロケットの行き来と,せめて自律型哨戒車輛の姿だけだった。

 だが,ベトナム戦争末期のゲリラ戦のような状態に陥ったときに,唯一頼れるのは,生身の兵士であることは,そんな現在の戦場であっても変わらない。狼のような野生と,ひたすら殺人兵器となることを意志とするサイボーグと,その両方を持つ人間。そこに潜むギャップを感じながら。デジタル情報を処理する闘争本能。シリコンチップと鉄に包まれた狼の実際。未来の戦場に,生身の狼が流す涙は,ありや。



 
[2000.08.15]
  go out, go away!


 ▼How to Halt Nazi Sales in France? (WIRED NEWS)【英語】
  http://www.wired.com/news/politics/0,1283,38183,00.html


 [go out](1)外に出ろ (2)姿を消せ (3)死んだほうがよい,[go away](1)立ち去れ (2)消えろ (3)ばかなまねは止せ,;-P。

 米国ヤフーのオークションでナチス関連商品などが扱われていることに対して,フランスの対人種差別組織がアクセスできないようにするように求めている訴訟で,フランスの裁判所は,インターネットのエキスパートにフランス人がそれにアクセスできないようにする方法がないかの調査を命じた。

 フランスでは,差別を意識させる商品の売買が法で禁止されているため,起こっている問題。だが,米国ヤフーはネオナチやKKKに関する出品を止めることを拒否(ZDNet Newsの記事),またフランス人のアクセスを制限することも技術的に不可能と法定で述べている(ZDNet Newsの記事)。フランスのヤフーでは,ナチス関連の商品は除去されているが,米国のヤフーではあるわあるわ。1,000点以上で,そこそこ入札があったりする。

 フランスという国のネットワークに関する無知は今に始まったことではない(過去記事)。いや,国自体を批判するのはお門違いかもしれないが,もし解決策があるとしたら,国民からネットワーク端末を排除するしかない,まっ,できるもんなら。ネットワークはフランス国家のものでもないし,米国国家のものでもない。誰かのものであってはいけない。日本人にナチスの傷はわからないとはよく云われることだが(もちろんわからない部分はある),私はヤフーを100%支持する。そのために,フランスという国がネットワークから出ていったとしても,大した問題ではない。



 
[2000.08.11]
  神と悪魔への背徳としてのPC


 ▼DNAの動力でいずれコンピュータ速度は1000倍に?(CNN.co.jp)
  http://www.cnn.co.jp/2000/TECH/08/10/dnamotor/index.html


 無機物を利用し続けてきたコンピューターが,有機物へと移行していくのは自然の流れだ。処理能力に関して云えば,有機物から得るものは大きい。そしてそれは,もうひとりの人間を造ることへとつながり,そして,自らのからだを改定していく,背徳の香りを漂わせる。

 DNAが決められた配列になる動力を利用したDNAモーターを生成することに,ベル研究所オックスフォード大学の研究チームが成功した。10〜20年先にはこの技術を応用し,現在の1000倍の処理速度を持つコンピューターも可能になる。

 G4キューブに対してスティーブ・ジョブズは「脳の入ったビーカー」の表現している(過去記事)。現在のCPUなど,人間の脳の活動と比べたら些細なものだ。処理速度も処理能力も比べ物にならない。人間の脳をチップ上に載せたコンピューターがあったら…。スーパーコンピューター並みのG4を内包したキューブは,確かなその道筋だ。

 脳の活動を解き明かすなど,まだまだ遠い先のことだろう。人間の脳なのようなものを造ることができるのは,神か悪魔かしかいない。人間(などの生命)の身体を利用したコンピューターを造ることは,どこか背徳の香りもする。脳を利用したチップと記憶装置に,動力はDNAモーター。そのとき,コンピューターは,道具ではなく,私たちの肉体に内包された,一組織となる。



 
[2000.08.10]
  ふへんのぶらうざ


 ▼米ネットスケープ、『Netscape 6』のPreview Release2を公開(ASCII24)
  http://www.ascii24.com/ascii24/news/soft/article/2000/08/09/610759-000.html


 ネットスケープに必要なのは,IEに勝つことじゃない。普遍のブラウザを作ること,不偏のブラウザをつくること,不変のブラウザをつくること。その過程として位置を確認できる,プレビューリリース2。

 AOL社の子会社であるネットスケープ・コミュニケーションズ社は8日,ウェブブラウザーの「ネットスケープ6 プレビューリリース2」を公開した。現在ウインドウズ版,マッキントッシュ版,リナックス版が公開。テーマと呼ばれる外見を変更できる機能を搭載しており,このテーマを募集するコンテストを実施している。

 さっそくだが,ASCII24の記事は間違い。日本語マック版も公開されている。インストーラーは英語だが,カスタムインストールなどでジャパニーズランゲージパックをインストール(ph)。起動(ph)したらメニューの中の言語設定を「Japanese」に切り替えて(ph)再起動すると日本語になる。どの言語でもランゲージパックを入れることで切り替えができるというのは非常にスマートで,普遍のブラウザとして重要。今後のUNIX版の登場も期待できるのがネットスケープのいいところ,大事な不偏さの現れ。

 PR1(過去記事)で,ブックマークなどいたるところにあった文字化けがすべて解消されている(いまだにEUCとJISの文字コード表示で文字化けするが…)。また,ストレスを感じるほどだった動作の遅れもほぼ解消。実用段階まで近づいてきたというところか。期待したいのはやはりテーマ。デフォルトでは,モダン(ph)とクラシック(ph)の2種類。できることならマックOS Xのアクアっぽいのとか,ブラウザの常識を打ち破るような外観が欲しいもの。ただし,ネットスケープはまだ仕事を終えていない。動作の遅れがなくなってブラウジングの速さはすこぶる実感できるが,まだ4.7系の動作の方が小気味いい。クッキー管理(ph)などはIEよりも上回っているが,URLのオートコンプリート機能がなかったり,履歴の管理などもまだまだ。年内の正式版リリースが楽しみになってきたけど,もう一息(けど,メインブラウザにしても問題ないレベル,かな?)。



 
[2000.08.09]
  そこに空があるように


 ▼次のビッグな波は「シンクロナイズ」(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0008/07/berst.html


 たとえれば青空のように,星空のように,いつでも変わらず,私のために,そこにある環境。手をかかげれば,いつもそこに空がある,ように。

 ベンダーたちは今,次に構築すべきは「シンクロナイズ(同期化)のプラットフォーム」だと云っている。マイクロソフト社の「ドットネット」戦略も同様だ。ユーザーのデータもアプリケーションも1つにまとめ,どこからでもアクセスできるそのサービスは,マイクロソフトのウインドウズに続く,「次の大きなプラットフォーム」になるはずだ。

 子供のころ見ていた星空と,今見上げている星空と,もちろんわずかな違いはあるだろうが,ほとんど変わらない星空がある。平安時代の貴族が見やっていた星空も,江戸時代の商人たちが見ていた星空も,きっとそんなに大きな違いはないだろう。そして,大きな緯度の差がないところならば,地球上のどこから見ても,同じ星空。私が怒っていたときも,笑っていたときも,泣いていたときも,常に変わらない,なにか,があるというのは,幸せなことだ。

 地から足を離せないPCは,シンクロナイズ・プラットフォームによって大空に解き放たれる。常に変わらず,見上げたときにいつもある環境,自分の場所。手ぶらで歩いていても,見上げるとそこには自分のすべてがいつでも用意されている。最低限の処理ができる小箱さえあれば,「全部」があるのと一緒。大空に飛び立てるような手軽さで,私たちは生きていける。



 
[2000.08.08]
  圧縮という名のフィロソフィー


 ▼デジタル情報、圧縮率高く復元完全・マイクロテクノロジ(NIKKEI NeT ITニュース)
  http://it.nikkei.co.jp/it/har/harCh.cfm?id=20000806eimi051606


 たとえば,私と君がいたとしよう。二人の間には限られた時間しかなくて,限られた言葉しかなくて,限られた接触しかない。なら,その限られたやり取りに膨大な情報を圧縮して送る。無限に圧縮したキスが,100万年の時を経るよりも,多くの想いとも,なる。それが,圧縮の哲学。

 マイクロテクノロジ社は,フラクタルの性質を利用し,デジタルの情報を圧縮・復元できる方式を開発した。圧縮率は約6割で,圧縮を繰り返すことで情報量を限りなく少なくすることができ,復元率100%で,劣化もない。

 できる限りたくさんの情報を届けるには,荷を小さくするしかない。映像と音声を伝えるにも同様。だが,大量の情報を小さくするには,分割するしかない。分割しても,やっぱり総量は一緒。そこで,圧縮,となる。ファイル内の同一箇所をひとつにまとめたり,情報の並びに規則性を与えることでその部分の容量を削ったり…。圧縮の理論は,考えれば考えるほど,面白い。ファイルを如何に小さくするかは,人生に匹敵する大問題だ。特に,ワイヤーの太さが限られているワイヤードでは。

 現在のウェブの起源とも云うべきヴァニヴァー・ブッシュのメメックス(過去記事)は,マイクロフィルムの中にばく大な情報を圧縮して詰め込み,それに迅速にアクセスするシステムだった。限りなく情報を圧縮することは,常に手の平にある情報を増やすこと,自分の脳を拡大させることと同義,記憶を拡大させることと同じだ。JPEGもGIFもPNGもMP3もMPEGも,ワイヤードの情報はすべて圧縮の過程を経ている。より完全な圧縮が,この世界を完ぺきなものとする。



 
[2000.08.06]
  この,国のカタチ


 ▼iモードとプレステの連携サービス ドコモとSCEIが提携し12月開始(日経コミュニケーション)
  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/news_top10/f_ncc1741.html


 この国に,真っ当な競争は存在しない。競争を持たぬ次元の意識の中で,企業とは,国家とは。

 NTTドコモ社ソニー・コンピュータエンタテインメント社は1日,iモードサービスとプレイステーション2,PSoneを接続させる新サービスの開発で提携した。プレステはiモード経由でソフトの内容を更新できるようにし,iモード上のゲームをプレステ上でもできるようにする。

 そういえば,ずいぶん前にプレステが携帯電話でネット接続という話(geisen newsの記事)があがって,SCEIがあわててうやむやにしていたが,結局はこれのことだったのかな? だが,この流れはもうすでに公然の事実だった。NTTドコモがプレステ・ドットコムに出資したとき(ZDNet Newsの記事)に,すでに決まっていたことで,ニュース的価値はさらさらない。問題は,この状況を生み出している,この国のカタチだ。

 他社サービスより断然優れているわけではないのに一人勝ちしているiモード。やるに値するゲームもないのに売れ続けているプレステ2。SCEIはぼろを出し続けておりいつでも崩壊してもおかしくない状態だが,NTTという完全独占企業から派生して当然こちらも完全独占企業となっているNTTドコモには,国の立場から競争を促進する必要がある。現在の偏った携帯電話市場は,もともと通信行政の不適切さが生んだ状況だ。そもそもの始まり自体が,独占禁止法を生み出す状態のもだったと,考えてよい。例えれば,野球といえば読売巨人軍の記事とテレビ・ラジオ中継を続けているような状況を変革できないマスメディア同様(それを否定したJリーグの凋落も含め),この国には,戦後,必要である競争が避けられ,うやむやにしていくカタチが作られた。本来競争に身を置く企業も,国家も,国民自身も。この国の本質的な弱さは,そこに端を発している。MSを徹底して攻勢する司法省の存在のように(それが功を奏するかどうかはおいといても),その弱さを払拭するべき動ける政治が,必要だ。たぶんすでに1000万人のユーザーを獲得しているiモードの動きは,たとえユーザーの不利益をうんだとしても,今,規制すべきだ。正当な競争の促進のために。



 
[2000.08.05]
  優しさと厳しさの狭間が生むもの


 ▼セガ、ゲーム・ソフトの新販売体系「@barai」導入(Nikkei BizTech News!)
  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/biz/109150


 コレクターも含めて,一般ユーザーには特に負担がない,どころか高騰し続ける価格というバリアを取り除くことができる。ユーザーへの優しさと,制作者への厳しさの狭間。ゲーム制作者が,持つべきものは…。

 セガ社は,ドリームキャスト用ソフトに,1,000円程度で店頭販売し,ゲーム途中から先に進められる解除鍵を2,000〜5,000円の電子決済で販売する「@barai(アット・バライ)」を開始する。セガは,ゲームソフトのレンタル開始の発表もしており,購入の敷居を低くし,低年齢層をはじめ,多くのユーザーに対する訴求力を高める意向だ。

 コレクターの皆さま,これで好きなソフトがいっぱい買えます,おめでとう(^_^)。これでエターナルアルカディアを100個買っても10万円ですみます。でも,残念ながらエターナル〜には初回限定「LIMITED BOX」版が9,800円で発売されますから,そっちの方に資産を注入してください。その他のアット・バライのソフトも含めて,ぜひ悶えプロゲッターみたいのが,がんがん現れてくれることを望みたいものです,いやはや(^_^;やっぱり好きなんですよ,悶えプロゲッターのページ)。

 それはともかく。注目したいのは,アット・バライ版の販売数と,解除鍵の販売数の差,だ。発売日に買ったのにいつしか放置プレイに遭ってたり,さっぱりつまらなくて中古屋に売り飛ばされたりしている数は,想像がつかない(けど,多いだろうな)。前人気に左右されない,現実的な評価が現れる。これは制作者には辛い。「もぉいいや」というユーザーの声が聞こえてくるようなもの。だが,それが,厳しい本当の評価だ。解除鍵の導入とは,ゲームの質に対する「絶対の」自信が必要となるきっかけだ。この厳しい状況を受け入れるセガから分社化した9社が持つべきものは,その自信と,それを裏付ける確かな制作力,それ以外には何もない。



 
[2000.08.03]
  笑う君はヘップバーン


 ▼The Future of PCs: Essential Fetish(NATIONAL REVIEW online)【英語】
  http://www.nationalreview.com/comment/comment072800g.html


 その煌めきを持ち,天にかざす絢,聚光の果てに,望みは頂上。君の瞳と,鉱石のまたたきと。キューブがそうであるように,新しいiMacもまた,宝石のよう。まるで,イライザ,ホリー,アン王女,ナターシャ,サブリナ…。

 パワーマックG4キューブはコンピューターの宝石だ。私は余裕があればいくらでもこれを買うだろう。宝石は人間の虚栄のものであるが,文化的意義もあるものだ。モンブランもロレックスも,メルセデスも,それらは全部道具に過ぎないが,かけがえのない宝石たちである。そして,キューブも,素晴らしいコンピューターであり,本質的には,もっとも素晴らしい宝石といえる。

 エメラルドの輝きを持つセージ,ルビーの火を放つルビー,サファイアの灯を宿すインディゴ。ぐっと趣を変えたiMacは,マーケットでも微妙に受け取られているようだ(MacWIRE Onlineの記事)。年配者が目立ち,購入層が広がったという。以前の5色では,タンジェリンはちょっと…,とか,ストロベリーは…,などと,意見もまばらとなっていたが,今回のは,どこにも隙がない,という感じがするがどうだろう。

 プライスはよりチープさを増したが,見た目はどうして極上の輝き。まるで,レディへと変わり果てた,イライズの笑顔のようなインディゴ。気高さと子供っぽさ、アン王女が見せた涙の輝きを感じるルビー。勝手気ままさと自由奔放のしぐさが永遠の魅力の,ホリーを思い描かせるセージ。笑う君は,まるでヘップバーン。新しいiMacと,恋をしよう。



 
[2000.08.02]
  go, to be


 ▼『ナップスター』,『グヌーテラ』に対抗する新サービス(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000801302.html


 首の皮一枚で繋がったナップスターだったが,この先,どのように生きていくのかは,まだ不明だ。ビジネスとして成り立つためのピアトゥピアネットワークは,まだ誰も作り出していない。さて,通貨がやり取りされる音楽配信とは? ファイル共有とは?

 オートノマス・ゾーン・インダストリーズ社は,ファイル共有を行うオープンソースのソフトウェア「モジョ・ネーション」を開発,ベータ版がダウンロードできる。モジョ・ネーションの特徴は,ファイルをアップロードした人が,ダウンロードした人から電子通貨で支払いを受けることができるということ。同社はこの機能を生かし,ハリウッドと協力したいと考えている。

 現在の状況。ナップスターは許すことができない。だからといって,新しい音楽配信のシステムなんて創造もできないし,面倒くさくってやる気もない。利用者たちは,その間にナップスターにどっぷりと漬かっていく…,っとそんな感じで,ぐるぐるとおんなじ所を回っている。だが,足踏みしているだけでも靴底は減っていく。体力も衰えてくる。無駄な疲労感だけが残っていく。

 なら,音楽配信にどんな解決策があるのだろうか。もっとも現実に近いのは,レコード会社がすべての楽曲を固定金額でダウンロードさせるという方法かもしれない。1ヶ月1000円弱の会員制とし,会員になれば,どれだけ曲をダウンロードしても同一金額,というカタチ。1曲だけでも,5000曲入手しても均一料金だ。そんなのレコード会社が損をすると思っている人は,甘い。年に数枚しかCDを買わない人の音楽に対する欲求を昂ぶらせ,結果的に年1万円以上を支払わせることになる。その威力は,計り知れない。プロモーションをかけなくても,人気の薄い楽曲を聴いてもらえる可能性も大きくなる。固定料金ですべてをダウンロードできるとなれば,わざわざ検索で探さなくてはいけないナップスターを使う人も減る。結局はファイル共有に勝るビジネスシステムを作ればいいだけで,その方法はいくらでもある。まっ,いくら云っても新しい社会を作れずに泣き言ばかり言っている彼らの頭の悪さは変わらないだろうから,さっさと身を滅ぼしてもらったほうがいいのかもしれないけど。あと,法律の条文を読むだけで,時代にそぐう秩序の構築を創造できないようなも同様。今必要なのは,命を懸けてでも,前に進むこと。前に進んで,新しいシステムを発見し,そこで生きる術を,探すことだ。それができないものは,死んだほうがよい。



 
[2000.08.01]
  光の速度で,繋がって


 ▼光ファイバー・ネットワーク技術会社がIPOで記録的大成功(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20000731103.html


 あなたはあたしに光を与えてくれた。暗闇は嫌い,漆黒は嫌い。あなたが光,あたしの光。光があれば生きていける。1秒間に地球を7周半,光の速度で,光の強さで,あなたと,繋がりたい。

 光ファイバー・ネットワーク機器開発を行うコービス社が,株式初公開で10億ドル以上の資金を調達,株価が異常な高値になる大成功を収めた。コービス社はまだ製品さえも市場に出していない。光学ネットワークは,現在需要が高まりつつあり,多額の利益が予想される。

 先週末,東京ビッグサイトで開催中の「21世紀夢の技術展」を観てきた(レポート)。目を引いたのはセガで,光ファイバーでアミューズメント施設を繋ぐ試み「net@(ネット・アット)」を公開。実際に,池袋と渋谷のゲームセンターとを繋いで,動画の配信,ネットワークゲームなどを実施していた。実質1ギガbpsという途方もないスピードでデータが伝送される。テレビ電話の画像もDVD並みだ。実は日本は世界に類を見ないほど光ファイルバーが張り巡らされている国。米国は広すぎて光ファイバーを敷くには,お金がかかりすぎるらしい。だが,その日本の光ファイバーも,さっぱり有用に使われてこなかった。そこで,セガ。てなことで,実際に体験…。

 映画の予告編などがたった1,2秒で,超高画質のものがやって来てしまい,なんか机の下のハードディスクに入っとるんぢゃないのかという感じ(^_^;)。シミュレーションっぽいゲームも用意されていたが,やっぱり遠いところにいるというのを実感するものがないので,感動に乏しい。だが,実はその感動の乏しさが,いちばんすごいことなのだ。遠さをまっっっっっったく感じない時点で,net@は成功,ともいえる。とはいえ,できれば,_遠くの近さ_を実感させてくれるコンテンツが増えていくことを期待したいもの。DSLだのケーブルテレビだのなんてのもたいしたことない,光ファイバーネットワーク。私たちの生活にそれが見られる風景を考えると,それこそが,私たちがいちばん望む未来,なのかもしれない。




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